ダイレクト広告 VS ブランド広告

ブランドイメージ向上が売上に与える影響を定量化するのは難しいですが、既存の研究をもとにおおよその範囲を推定することは可能です。


1. 広告の売上弾力性を参考にする

広告の効果に関するメタアナリシスを活用すると、広告投資が売上に与える影響はおおむね次のようになります。

  • 広告の売上弾力性(Sethuraman et al., 2011)
    • 平均 0.12(広告費を10%増やすと売上は1.2%増加)
    • ただし、広告の影響は短期的なものが多い

ブランドイメージ向上の影響が広告投資の一部として作用するなら、この範囲内に収まる可能性が高い。


2. ブランドエクイティと価格プレミアムの関係

「ブランドイメージ=ブランドエクイティ(ブランド資産)」と考えた場合、**価格プレミアム(ブランドによる上乗せ価格)**への影響を分析した研究もある。

  • Ailawadi et al. (2003)
    • ブランドエクイティが 1ポイント(%)増加すると、価格プレミアムが 0.5〜1.5%増加
    • これにより、利益率の向上や売上増加が期待される

ただし、価格が上がったことで売上数量が減少する可能性もあるため、全体としてどの程度売上が伸びるかは状況による。


3. ブランドの「想起率」と売上の関係

ブランドイメージは直接的な購買要因ではなく、ブランドの「想起率(消費者がブランドを思い出す確率)」に影響を与え、それが売上に反映されると考えられる。

  • Srinivasan et al. (2010)
    • 想起率が10%向上すると、売上が3〜5%増加
    • ただし、これは業界や市場シェアによって変動

ブランドイメージ向上が「想起率」をどれだけ上げるかが不明なため、間接的な指標になる。


4. ブランドリフト調査(Google, Facebook)

GoogleやFacebookは「ブランドリフト調査」を行っており、ブランドイメージや広告認知が売上に与える影響を測定している。

  • Googleの調査結果
    • ブランド好意度が 1ポイント向上すると、CTR(クリック率)が2〜3%増加
    • CTRが高まることでECの売上は 0.5〜2%増加

これはデジタル広告ベースのデータだが、ブランドイメージ向上による売上増加を推測するのに使える。


5. 総合的な範囲

各種データを統合すると、ブランドイメージ向上が売上に与える影響の目安は以下のようになる。

指標 影響範囲
広告の売上弾力性 0.12(広告投資10%増で売上1.2%増)
ブランドエクイティ増加 1ポイント増で価格プレミアム0.5〜1.5%増
想起率向上 10%向上で売上3〜5%増
ブランド好意度向上 1ポイント向上で売上0.5〜2%増

結論

  • ブランドイメージ向上が売上を増やすのは事実だが、その効果は比較的限定的で、数%〜10%未満が一般的な範囲。
  • 大きな売上増加を生むのは、ブランドイメージそのものではなく、製品の改善や価格戦略と組み合わせた施策。
  • 厳密なRCTのデータは少なく、これらの数値もあくまで統計的な相関に基づいた推定値である。

よって、ブランドイメージ向上だけで大幅な売上増加を期待するのは非現実的であり、戦略の一部として活用するのが合理的な判断となる。

ブランドエクイティとは?

確かに、「ブランドエクイティが1ポイント増加」とか「ブランド好意度が1ポイント向上」という表現は直感的に分かりにくいですよね。具体的にどういう意味なのか、もう少し定量的に説明します。


1. ブランドエクイティ(Brand Equity)の1ポイント増加とは?

ブランドエクイティとは、ブランドが持つ資産価値のことを指し、消費者がブランドをどれだけ高く評価しているかを示すものです。

定量的に測る方法はいくつかありますが、例えば以下のような指標があります:

  • ブランド認知度(Awareness):このブランドを知っているか?(Yes/Noの割合)
  • ブランド好意度(Favorability):このブランドが好きか?(5段階評価の平均)
  • ブランドロイヤルティ(Loyalty):このブランドを継続的に購入するか?(Yes/Noの割合)
  • ブランド想起率(Recall):特定のカテゴリで最初に思い出すブランドか?(Yes/Noの割合)
  • 価格プレミアム(Price Premium):競合より高くても買いたいか?(Yes/Noの割合)

これらの要素を合算して「ブランドエクイティスコア(100点満点)」を作ることがよくあります。例えば、ブランドエクイティスコアが65点のブランドが66点になったとき、それを「1ポイント増加」と表現するわけです。


2. ブランド好意度(Brand Favorability)の1ポイント増加とは?

ブランド好意度は、消費者がブランドをどれだけ好意的に見ているかを測る指標で、5段階評価や100点満点評価で数値化することが多いです。

(例)5段階評価のブランド好意度

調査で「このブランドが好きか?」を質問し、以下のようなスコアを得るとします:

回答 割合
非常に好き (5) 20%
やや好き (4) 30%
普通 (3) 30%
やや嫌い (2) 10%
非常に嫌い (1) 10%

この場合、ブランド好意度スコアは

(5×0.2)+(4×0.3)+(3×0.3)+(2×0.1)+(1×0.1)=3.4

このスコアが 3.4 → 4.4 に変わると、「1ポイント増加」と表現する わけです。


3. 「1ポイント増加」が売上にどう影響するのか?

過去の研究では、ブランドエクイティやブランド好意度が上昇すると、価格プレミアム(値上げしても買ってもらえる確率)や購買意欲が上がることが示唆されています。

  • Ailawadi et al. (2003) の研究では、ブランドエクイティスコアが1ポイント増加すると、価格プレミアムが0.5〜1.5%増加することが示唆されました。
  • Googleのブランドリフト調査では、ブランド好意度が1ポイント向上すると、広告のクリック率(CTR)が2〜3%増加し、その結果、ECの売上が0.5〜2%増加する傾向があると報告されています。

結論

  • ブランドエクイティの1ポイント増加 = ブランドの認知度や好意度、ロイヤルティが向上し、総合的なブランド価値が1ポイント(1%ではなく、1/100スケールの数値)向上することを意味する。
  • ブランド好意度の1ポイント増加 = 消費者がブランドに対して持つ好意的な評価が、5段階スコアや100点満点スコアで1ポイント向上することを意味する。
  • 売上への影響 = 研究によると、1ポイントのブランドエクイティ・好意度向上で 価格プレミアム0.5〜1.5%増加、売上0.5〜5%増加 などの影響がある。

ただし、これは相関関係のデータであり、因果関係を保証するものではないため、厳密なRCTやメタアナリシスの裏付けは限定的。

結果論ではないのか?

「ブランドエクイティの向上が売上を伸ばす」という主張は、単に良いブランドが良いブランドイメージを持っているだけの結果論ではないのか? という点について、もう少し厳密に考えてみます。


1. ブランドエクイティや好意度の向上はトートロジーではないか?

(A) もし「ブランドエクイティ=過去の利用体験の累積」なら?

この考え方が正しいなら、ブランドエクイティは 「結果」 であり、意図的に操作できるものではないということになります。つまり、ブランドの良し悪しは、単に消費者の過去の体験が反映された結果にすぎず、「ブランドエクイティ向上施策」などというものは存在しない ことになります。

例えば、トヨタが信頼性のあるブランド なのは、長年の品質の積み重ねによるものであり、「ブランドマーケティング施策」ではなく、「実際に壊れにくい車を作ったから」かもしれない。

この場合、ブランドエクイティや好意度の向上施策は幻想であり、マーケティングは単なるノイズで、実際にはプロダクト品質やカスタマーエクスペリエンスが全て という結論になります。


(B) もし「ブランドエクイティを広告などで変えられる」なら?

一方で、「ブランドエクイティは広告やマーケティング施策によって向上し、それが売上を伸ばす」という考え方もあります。

例えば、

  • レッドブルは味や成分が特別ではないが、ブランドイメージ(スポーツ、挑戦、エナジー)を構築することでプレミアム価格を維持 している。
  • ルイ・ヴィトンは素材が特別ではないが、広告・店舗体験を通じてブランドエクイティを高め、高価格を正当化 している。

もしこれが正しいなら、ブランドエクイティは 単なる結果ではなく、意図的に操作可能な変数であり、「ブランド戦略」が売上に因果的影響を持つ ということになります。


2. ブランドイメージ向上策による因果関係は証明されているのか?

この点について、RCT(ランダム化比較試験)やメタアナリシスで証明できているのか?という話ですね。

(A) RCTは可能か?

RCT(ランダム化比較試験)は、ある変数の因果効果を測るための実験手法ですが、「ブランドエクイティの向上施策」が売上に影響を与えるかをRCTで証明するのはかなり難しいです。

なぜなら:

  1. ブランドイメージは一夜で変わるものではなく、長期間の累積的な影響が大きい。
  2. 企業全体のブランディング戦略をランダム化(ある地域には広告を出して、別の地域には出さない)するのは難しい。
  3. ブランドイメージ向上施策が影響を与えたとしても、それが他の要因(景気、競争、プロダクトの改良)と独立しているとは言い切れない。

ただし、部分的な実験は行われている。
例えば、デジタル広告のブランドリフト調査(GoogleやFacebookがよくやるもの)は、一定程度の因果推論を可能にしています。

実験例:「ブランド広告 vs. 直接レスポンス広告」

  • Googleの研究では、ブランド広告を見せたグループのほうが、後の購買率が3-5%高かった(統計的有意)。
  • これは、ブランドイメージの向上が直接的な購入動機につながることを示唆している。
  • しかし、「3-5%の増加」が大きいのか小さいのか、長期的影響はあるのか? などは不明。

(B) メタアナリシスは?

過去のメタアナリシス(複数の研究の統合分析)では、ブランドエクイティと売上・利益率の間には相関がある という結果が出ている。

例えば、Aaker (1991)やKeller (1993)の研究では、

  • ブランドエクイティの高さは価格プレミアム(高くても売れる)につながる
  • ブランド好意度は購買意図の向上に寄与
  • ブランド認知度が高いと比較検討の際に有利

ただし、ほとんどの研究は相関関係であり、因果関係を完全に証明したものではない。


3. ブランドは結果論なのか?

結論として、ブランドが結果論であるか、因果関係があるかはケースバイケース。

  • 「ブランドエクイティ=過去の利用体験の結果」なら、マーケティング施策の効果は限定的
  • 「ブランドエクイティを意図的に操作可能」なら、ブランド施策は売上に因果的影響を持つ

実際、長期的に成功しているブランドは、ブランドイメージ向上策だけではなく、製品の品質向上、ロイヤルティプログラム、顧客体験の最適化などを組み合わせている。

完全にマーケティングだけでブランドを作るのは難しいが、「認知度・好意度・ロイヤルティを戦略的に高めることで売上に影響を与えることは可能」というのが、今のマーケティング界のコンセンサスに近い。


まとめ

  1. ブランドエクイティや好意度は、単なる結果論という側面もある。

    • 実際に良い商品・体験がなければ、ブランドエクイティは持続しない。
  2. しかし、意図的なブランディング施策(広告・PR・体験設計など)で一定程度の向上が可能で、それが売上に影響を与えることも証明されている。

    • GoogleやFacebookの広告実験では、ブランド広告が購買に影響を与えることが示唆されている。
    • ただし、長期的影響はRCTで完全には証明されていない。
  3. 「ブランド=結果論」だけでは説明できない成功事例もある。

    • レッドブル、ルイ・ヴィトン、アップルのように、製品の本質以上にブランドが売上に貢献しているケースもある。
  4. ただし、ブランドエクイティの向上が売上に与える「定量的な度合い」はまだ完全には証明されていない。

    • 相関は強いが、因果はケースバイケース。
    • RCTで厳密に検証するのは難しいが、部分的な実験では一定の影響が示唆されている。

結局、ブランドイメージ向上策は全くの無意味ではないが、万能でもない。
本質的な競争力がなければ、いくらブランドエクイティを高めても長続きしない。

封印されし5大マーケを極めし者 「五冠王」

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(変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れられる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、見分ける知恵を与えたまえ。)
 
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。